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【治療薬の開発】

家族性高コレステロール血症の患者は、基本的には投薬による治療を受けますが、投薬により血清総コレステロール値が下がらない場合は、LDLアフェレーシス治療を受ける場合があります。
アフェレーシス治療は、1回に2時間から3時間を要し、継続して治療を受ける必要があり患者には大きな負担となっています。
欧州では、このアフェレーシス治療に代わり、投薬による治療も開始されています。日本での家族性高コレステロール血症の治療薬の開発状況等について紹介します。

血中のコレステロール値を低下させる治療薬として「スタチン系治療薬」が多く使用されている。スタチン系治療薬は、1973年に日本で最初に発見され、以降様々な薬が開発され世界各国で使用されている。
家族性高コレステロール血症は、遺伝子の変異で罹患する病気であるが、遺伝子の変異の種類により次の内容に分類される。

ヘテロ接合体
1.LDL受容体(肝臓の細胞表面にあり、LDLコレステロールを細胞の中に取り込む働きをする)に1つの異常がある。
2.PSCK9(LDL受容体と結合し、分解させてしまう酵素)に1つの異常がある。


ホモ接合体
1.LDL受容体に2つの異常がある。
2.LDL受容体とPSCK9に1つずつの異常がある。
3.ARH(LDL受容体が細胞に取り込まれる中継の働きをする)に2つの異常がある。

これらはいずれも血中のLDLコレステロールをLDL受容体を通じて細胞の中に取り込み、分解をする働きを低下または阻害するものであり、結果 血中にLDLコレステロールが溜まっていくことになる。
新しい治療薬は、これらの遺伝子の異常に対し働きかける治療薬である。従って患者は自分自身がどのタイプに該当するか専門医の診断を仰ぐ必要がある。

これらの遺伝子の異常に対する治療薬には、次の治療薬が開発されている

1.MTP阻害薬

MTP (ミクロソームトリグリセリド輸送タンパク質)は、小腸でのカイロミクロンの合成と肝臓でのVLDL(超低密度リポタンパク質:肝臓から組織にコレステロールを運ぶ作用を有する) の分泌に関与している物質であり、この作用を阻害することでVLDLの分泌を抑制し、結果として肝臓から組織にコレステロールを運びぶことを防止する。
ホモ接合体に対する治療薬として、アメリカ、カナダ、ヨーロッパ、メキシコ、台湾などで認可されている。
日本においては、現在、治験が行われている。

2.PSCK9阻害薬

PSCK9は、LDL受容体の分解を促進する物質であるが、PCSK9の機能を阻害することで、LDL受容体の分解を抑制し血中のLDLコレステロールを効率良く細胞の中に取り込ませる。結果としてLDLコレステロール値を低下させる薬剤である。PCSK9を阻害する抗体医薬が開発されており、アメリカおよびヨーロッパにおいて既に認可されている。日本においては、既に承認申請がなされている。
新しい家族性高コレステロール血症の治療薬は、上記に示す治療薬が開発され臨床試験(注)が実施されている状況にある。 臨床試験が終了し、治療薬として承認されアフェレーシス治療に代わる高コレステロール血症治療薬として採用されることを望むものである。

注:平成27年10月現在(一部の治療薬は治験は終了)として実施されていた。

資料ご提供:国立循環器病研究センター研究所 病態代謝部長 斯波先生

 

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